ネパール訪問記その1「東日本大震災からネパール地震へ」

執筆者:医療ガバナンス学会2018年8月3日
右から2番目が筆者の尾崎さん、左隣がアナップ・ウプレティ氏、その隣が樋口朝霞さん(筆者提供)

 

【筆者:尾崎章彦・外科医】(詳細プロフィールは本文末尾に)

 今年6月下旬、1週間の行程でネパールを訪問した。現地の医療者と進めている共同研究について議論するためである。訪問は順調に進み、各所で実りのある議論を行うことができた。その詳細は今後報告するが、今後ネパールの調査を続けていく自信を掴めたような気がしている。

 ネパールとの縁は、2015年11月に遡る。きっかけはネパールの医師アナップ・ウプレティ氏が、当時私が勤務していた南相馬市立総合病院を訪問したことだ。2015年4月ネパールは壊滅的な地震の被害に遭い、約8500人の方々が命を落とした。彼は兼ねてからの友人だった樋口朝霞さん(2017年10月6日「アメリカの公立高校で見た『移民』教育システム」参照)を頼り、福島の地を訪れた。訪問の理由は、東日本大震災後の福島の教訓を学ぶことだ。日本滞在中に彼は福島とネパールの状況を比較した短い論文をまとめ、それは『Lancet Global Health』という国際保健における一流誌に掲載された。それまで1度も論文を書いたことがなかった彼の論文があっさりと受理されるのを目の当たりにして、衝撃を覚えたことを鮮明に覚えている。国際保健の分野において、ネパールという国に強い興味が払われていることを、その時初めて意識した。

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