この人、ムハンマド皇太子の動向に中東のみならず世界が注目している(C)AFP=時事

 

岩瀬昇 普段から疑問を持っていることをお聞きしようと思うのですが、結局行き着くところは、サウジアラビア(以下、サウジ)の現在の統治体制の安定性ということです。

 3月初旬から、ムハンマド・ビン・サルマーン(MBS)皇太子がアメリカに3週間ほど行きましたが、その最中か前後に、彼はアメリカメディアのインタビューを何度か受けています。それらを読んで僕が最初に気になったのは、彼のメディアでの発言が、サウジ国内でどう報道されるのか、ということでした。

 米国の老舗雑誌『アトランティック』では、編集長のジェフリー・ゴールドバーグがインタビュー記事を書いています。その後半には、MBS皇太子との1問1答がそのまま掲載されているのですが、その中で「1979年以前と以降は違う」とのMBS皇太子の発言に対し、ゴールドバーグが「もともとワッハーブ主義派の考え方の中に過激な部分があるのではないか」と質問をしています。すると驚いたことに、MBS皇太子は「ワッハービズムとは何だ」と。「自分は知らない。誰もそれを定義できない」と言っている。その部分を読んで、僕はすごくびっくりした。

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