アメリカ人はまだオバマを知らない

執筆者:リンダ・フェルドマン2008年9月号

十一月四日の投票日まで三カ月を切った。果たしてオバマは、労働者階級の白人有権者の票も獲得することができるのだろうか。[ワシントン発]バラク・オバマは当初、『ハーバード・ロー・レビュー』編集長というポストに、さほど興味をもってはいなかった。 時は一九九〇年、大学院を修了したら、シカゴでの貧しい人々を助ける仕事に戻るつもりでいたからだ。政治にも関心があった。いずれにせよ、ハーバード大学法科大学院が発行する法律専門誌の編集長がいかに輝かしい経歴になるとしても、有名法律事務所に就職するのでもない限り、自分のキャリアには関係ないと思っていたのだ。だが、締め切り間際、友人たちの説得に負け、十九人目の候補に名乗りをあげた。 保守系の候補がすべて脱落すると、彼らを支持していた学生がオバマ支持に回った。言うまでもなく、オバマはリベラルだ。なぜ保守系の学生はオバマを推したのか。あらゆる観点から公平な見方をすることで知られていたからだ。かくして、伝統ある『ハーバード・ロー・レビュー』に初の黒人編集長が誕生した。だが、この時の編集長選挙に関係した者は口をそろえる。オバマ支持であれ反対であれ、人種が問われることはなかった、と。

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