東方経済フォーラムの壇上で。左から安倍晋三首相、習近平中国国家主席、プーチン露大統領。プーチン仰天発言はこの時飛び出した (C)時事

 

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が9月12日にウラジオストクで、「(領土などの)前提条件なしで日露平和条約を年内に締結しよう」と突然提案したことは、日本側に困惑を招いた。前々日の日露首脳会談でそのような発言はなく、唐突かつ意表を突く発言だったからだ。

 難航する北方領土問題の棚上げを意図したことは明らかだが、日本側が拒否すれば、ロシアが反発し、交渉はさらに難航しよう。プーチン大統領と22回の会談を重ねた安倍晋三首相の対露外交が、曲がり角に直面していることを示した。

「1島返還」の恐れも

 プーチン発言は、日中露韓とモンゴル首脳が登壇した東方経済フォーラムのパネル・ディスカッションで飛び出したが、引き金は安倍発言だった。首相は「プーチン大統領と今後も会談を重ねていきたい。聴衆の皆さんにも、平和条約締結に向けたわれわれの歩みを、支持してもらいたい」と拍手を催促すると、大統領は「シンゾーは『アプローチを変えよう』と言ったが、是非そうしたい。たった今思いついたアイデアだが、平和条約を今とは言わないが、年末までに無条件に結ぼう。その後ならば、平和条約を基礎に、すべての係争問題の解決ができるはずだ」と提案すると、安倍首相を上回る拍手が起きた。

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