外為資金でアメリカの金融危機を救うべし

執筆者:高橋洋一2008年9月号

米国の金融危機は世界経済に大きなダメージを及ぼしかねない。日本は今こそ膨大な「SWF」を有効に使うときではないか。  米国経済が危機的な状況にある。サブプライム問題に端を発した住宅バブルの崩壊があり、金融システム危機が来るというのだ。その象徴は、GSE(政府支援企業)である住宅関連金融機関ファニーメイ、フレディーマックの株価低迷だ。  GSEというのは、民営化会社であるが、政府が種々な支援をしており、それらが発行する社債は事実上政府保証が付されていると多くの人が信じている。アメリカのGSEは、民営化されていない日本の政府系金融機関とは全く異なるが、あえていえば、民営化されたとはいうものの株式の一部をまだ政府が保有しているNTTやJTのような存在だ。NTTやJTが破産しそうだといったら、日本では大騒ぎだろう。今のアメリカはそうした状況にある。  しかも、アメリカ人は住宅の買い換えが好きで、一生のうちに何回も住宅を買い換えるので、ファニーメイ、フレディーマックは誰でも知っている有名企業だ。それが破産するかもしれないというのだ。ちなみに、二〇〇七年七月、両社の株価は六〇―七〇ドルであったが、今では、一〇ドル以下に低下している。これは二十年前の水準だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。