【特別対談】白戸圭一×篠田英朗:「アフリカ」から見える「日本」「世界」のいま(2)
2018年11月12日
白戸圭一:篠田さんに話をうかがいたいと思うのは、平和構築、国連PKO(平和維持活動)、対テロ戦争といった安全保障と平和構築の問題です。
「2つの鎖国」
白戸:こういう話をしましょう。これも北岡伸一先生がお使いになっている言葉ですが、北岡先生は「日本には2つの鎖国がある」と言っています。1つは右の鎖国、もう1つは左の鎖国だと。僕は、これは今の日本を理解する上でのキーワードだと思っており、大学で学生にも話したことがあります。
どういうことかというと、まず右の鎖国というのは、今の日本に高まっている歪んだナショナリズムのことです。実際には排外主義に近い。日本はいかにすごい国であるかという本と、反中・嫌韓の本が同時に売れ、あるいはそういう言論がネット空間にあふれ、そういうことを言う言論人やタレントがもてはやされるという状況です。これは非常にまずい現象です。本来ならば、国であれ個人であれ、自分を常に厳しく律して、自分を見詰め直していかないと発展できないはずですが、今の日本の状況はどうもそうじゃない。「自分たちはすごいのだ」と言いながら中国や韓国をバカにする風潮がどんどん強くなっている。少子高齢化で国力が衰退していく中で、こうした右の鎖国メンタリティーが強くなっていることが非常に気になる、と北岡先生はおっしゃっています。ここまではよくわかりますね。
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