「今週末が危ない。なるべく職場で待機するように」。都内のある金融機関の証券化商品担当者は上司からそう申し渡されていたという。米証券四位のリーマン・ブラザーズの処理が大詰めにきていたからだ。この金融機関は百億円規模の証券化商品を抱えており、リーマンから買ったものも少なくないという。折しも日本は、土、日、月の三連休。休みを返上した金融機関職員は彼だけではなかった。 果たして、懸念は現実化した。九月十五日の月曜日未明、リーマンは米連邦破産法十一条に基づく会社更生法手続きの申請を発表。世界に衝撃が走る中、日本の金融庁は国内金融機関への影響の把握に動き出した。体力のない金融機関にとって「リーマンショック」が破綻の引き金になりかねない。 リーマンは不動産の証券化業務などを得意としていたが、だからこそサブプライムローン問題では直撃を受けた。住宅バブルの崩壊と金融市場の混乱によって証券化商品関連の損失が拡大し、今年三―五月期には、一九九四年の再上場以来初めてとなる二十七億ドルの赤字を計上。六月には六十億ドルを緊急増資したが、その後も不良債権の損失は積み上がり、「第二のベアー(三月にJPモルガン・チェースに救済合併された米証券五位のベアー・スターンズ)」となるのは時間の問題といわれていた。

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