トランプ政権が「イラン核合意」からの離脱を発表した直後、英『BBC』が報じた大口輸入国リスト(『BBC』HPより)

 

 2018年11月21日、日系メディアは「米国政府は、イラン原油のシリア供給に関与したロシア企業に、新たな制裁を課した」というニュースを報じた。

 たとえば『日本経済新聞』は「米、ロシア企業等に制裁 アサド政権支援で」(6:01)と題して伝えており、追うように『NHK News Web』も「米 ロシア企業に制裁 “イラン産原油をシリアへ供給“」(11:19)とのタイトルで報じていた。

 だが、これら日系ニュースを読んでも、ロシア企業が関与しているスキームなるものがよく分からなかった。したがって、ニュースとしての重要度も、今後の影響の度合いもよく分からない、というのが実情だった。

 ところが3日後の11月24日、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)が図入りで、当該ニュースを詳細に報じてくれており、ようやく理解できた。

 FT記事によると、イラン原油をシリアに輸送するタンカーの手配を、在ロシアのシリア人所有の企業に任せ、その輸送代金を医薬品代金の名目でイラン中央銀行が払った、ということのようだ。そして、これとは別に、運ばれたイラン原油の代金を、シリア政府はシリア中央銀行から在シリアのイラン系武装勢力に渡している、というのが全体のスキームと読める。

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