「右斜め45度」から切り取る世界情勢

『AI時代の新・地政学』著者・宮家邦彦さんインタビュー

執筆者:フォーサイト編集部2018年11月30日
外交官時代の秘話も必読!

 痛快でありながら奥行きを感じさせるユーモアたっぷりの分析。「右斜め45度」からの独特の語り口が、ただの「元外交官」には収まらない宮家邦彦氏の特長だ。

 東京大学法学部卒業後、外務省に入省し、在中国大使館公使や在イラク大使館公使を経て2005年に退官。以来、評論家として活動し、著書多数。現在はキヤノングローバル戦略研究所の研究主幹を務めている。

 今年9月に刊行された『AI時代の新・地政学』(新潮新書)は、まさに「宮家節」が詰まった1冊だ。『週刊新潮』の連載コラム「新聞  ネットじゃわからない国際問題 鳥の目 虫の目 魚の目」(2015年末~2018年4月/全115回)から厳選した64編を再編集した本書は、時事ネタを追いつつも、普遍的な視点で世界を捉えている。

 本書に込められた意図やエッセンスについて聞いた。

――内容が多岐にわたる64編を「AI」というテーマでまとめようと考えたのは、なぜでしょうか。

キヤノングローバル戦略研究所で取材に応じてくれた

 AI(人工知能)が技術業界や経済紙などで注目されていることは、みなさんご承知の通りですが、日本と世界とではAIに対するスタンスがまったく違うと前々から感じていました。何が違うかと言うと、世界では新しい技術が出てくると、商業的のみならず軍事的、もしくは政治的に応用するのが当たり前です。一方、日本では、私がAI関連の複数の専門家に直接話を聞いた限り、政治的応用、軍事的応用という発想が決定的に欠けていた。

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