五輪参加以来最多の金メダルを獲得した北京五輪で、中国は、チベット騒乱などで守勢にあった対外関係を転換することにも力を注いだ。五輪開会式出席のために来訪した八十カ国を超える外国の首脳を、胡錦濤国家主席以下、政府と共産党の首脳挙げてもてなした。 その封切りは五輪開会式当日の八月八日昼、人民大会堂で催された胡主席夫妻による歓迎大昼食会である。八十カ国以上の国の王族、大統領、首相、その随員と中国側出席者を含めてざっと百七十人。「建国以来、最高格式かつ最大規模の大昼食会」と中国紙は形容した。 大ホールには二十五人から二十八人掛けの巨大な丸テーブルが九卓並べられ、各テーブルに中国共産党の政治局常務委員がホストとして就いた。九卓揃えたのは、胡錦濤総書記以下、政治局常務委員が九人いるからだ。 各テーブルには花の名前がつけられ、最も格の高い中央のテーブルは「牡丹」。ちなみに中国では「国花」を何にするか現在選定中で、中国原産の牡丹が有力になっている。「天子は南面す」の言葉通り、「牡丹」で南面する席を胡主席夫妻が占め、ホスト両側の最上席には国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長夫妻が座った。同席したのはブッシュ米大統領夫妻、フランスのサルコジ大統領、ブラジルのルラ大統領、日本の福田首相、ロシアのプーチン首相、オーストラリアのラッド首相ら。中国が重視する国は、大統領より格の低い首相でも「牡丹」につけた。

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