ついに北極海に到達した2人。北極といえども夏は30度近くまで気温が上がるため半袖Tシャツ

 

 移民集団「キャラバン」は一直線にアメリカを目指したが、小林剛さん(47)と二俣明日香さん(31)はエルサルバドル、グアテマラを過ぎたところで少し寄り道。東に進んでベリーズを抜け、ユカタン半島に点在するメキシコのマヤ文明遺跡を巡った。

 思わぬニュースが飛び込んできたのは、世界遺産になっている古代都市パレンケから移動しようとしていた時のこと。

 二俣さんが振り返る。

「パレンケから西にある町に向かおうとしていたら、この間の山道で行方不明になっていたドイツ人とポーランド人の2人組のサイクリストが、実は強盗に襲われて殺されていた、と『BBC』が報じたのです。観光客が多いからか、このルートでは強盗や殺人事件が頻発していました」

海外安全ホームページより。東端がチアパス州

(3)で触れた外務省の「海岸安全ホームページ」を見ると、この山道が走るチアパス州はほぼ真っ白。つまり「レベル1」ですらない「安全な場所」ということだ。小林さんが疑問を持つのも頷ける。

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