群雄割拠の太陽電池ビジネスでインド企業が存在感を高めている。その一つが二〇〇七年七月に太陽電池の生産を始めたモーザー・ベアPV社。CD-Rなどの光ディスク製造で世界大手のモーザー・ベアのグループ企業だ。 モーザー・ベアが太陽電池を生産するのはニューデリー近郊の産業地域グレーター・ノイダ。結晶型と薄膜型の両方を手がけるが、結晶型太陽電池の工場では個々のウエハーへの薬品処理などをコンベヤー上の流れ作業でさばく手法を確立。一定枚数がたまるのを待って次の工程に送る従来の「バッチ処理」より効率が良い。また太陽電池で収益を上げるには高価な素材であるシリコンを無駄にしないことが必須だが、モーザー・ベアでは光ディスクの製造技術を取り入れ、不良品の発生を抑えた。隣接する薄膜型太陽電池の工場には米半導体装置大手のアプライド・マテリアルズが開発した最新鋭の一貫製造ラインを世界で初めて導入した。 こうした先端的な取り組みに目を付けたのが野村ホールディングスやクレディ・スイスなどの金融コンソーシアム。九月四日、モーザー・ベアの太陽電池事業に四十一億一千万ルピー(約百億円)を投資すると発表した。野村香港法人の投資事業部門を率いる橋本芳樹氏は「将来の太陽電池業界の勢力図を塗り替え、業界の牽引役となる可能性を持っている」と高く評価する。

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