自由で開かれたインド太平洋構想

執筆者:北岡伸一2019年1月18日
多目的船4401にて合同訓練を行う海上保安庁とフィリピン沿岸警備隊(PCG)(写真提供・JICA)

 

「自由で開かれたインド太平洋戦略」という言葉は、安倍晋三首相が2016年8月、ケニアで開かれた第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)で初めて使ったものである。今では、アメリカもこれを主張するようになっている。それゆえ、これを米中対立の一環と捉え、また、中国の「一帯一路」と対抗するものと捉えている人が多い。私はそうでないということを、述べたいと思う。

「戦略」というよりも「構想」

 第1に、「自由で開かれたインド太平洋」というのは、戦略ではない。戦略とは、より上位の目的を実現するための方法であり、政策の体系である。「自由で開かれたインド太平洋」というのは、むしろ、多くの政策の上位にくる目的ないしヴィジョンである。最近、政府は自由で開かれたインド太平洋「構想」と言い換えるようになったが、これは戦略に付随する軍事的意味合いを払拭するためだと言う人がいる。だが、元来、構想の方が正しいと私は考える。

 日本の生存と発展のために、自由で開かれたインド太平洋は絶対に必要である。中国やロシアやアメリカにとって、インド太平洋が自由でなくても開かれていなくても、なんとか生存はできるだろう。英仏独にとっても同様である。しかし、日本にとっては死活的に重要な課題である。

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