中身の濃い、約1時間半の対談(左・細谷雄一さん、右・篠田英朗さん)(撮影・広瀬達郎、以下同)

細谷雄一:やはりGHQの占領下で憲法をつくったということが重要で、もしも吉田茂や幣原喜重郎が生き返って今の日本国憲法や安保条約を見たら、間違いなく驚いて、ひっくり返ると思いますよ。彼らなら、あの70年前の憲法をまだ使っているのか、もうさすがに変えないとまずいのではないか、ということを言うと思います。まさか、あのやむを得ないいろんな制約や拘束の中でつくったものを、なぜ自分たちの手で変えないのか。彼らは不可解に思うのではないでしょうか。安保条約にしても憲法にしても、日本はサンフラシスコ講和条約によって独立を回復したわけですから、独立した日本国民がみずからの頭で考えてみずからの手で新しい憲法を作る、国を作る。これは当然のことだと思っているはずで、変えないとは思ってなかったでしょう。ですから、それは異様なことであった。

 

 

 

 具体的には、現憲法の制定には当時の時代の制約や政治的な理由、時間の短かさといった問題があるんですね。たとえば統治機構で言うと、もともと一院制にしようとしたのを後から二院制に変えたので参議院の位置づけがあいまいになっています。憲法で使われている文言自体も論理的に矛盾している部分が幾つもあります。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。