衆議院予算委員会で墓穴を掘る発言をした中江元哉前首相秘書官(現財務省関税局長) (C)時事

 

 厚生労働省による統計不正問題がヤマ場を迎えている。国会では2月18日に衆議院予算委員会で、この問題を巡る集中審議が行われた。毎月勤労統計の調査方法が変わって、2018年1月以降、賃金の伸びが大きく上振れした背景に、首相官邸の意向があったのではないかと野党各党が追及。これに対して安倍晋三首相は、「そんなことはありえない。ありえない。そんなありえないことをまるであったかのごとく、推論して政権を批判するのはどうかと思いますよ」と語気を荒らげ、全面的に否定した。

4つの「焦点」

 統計不正問題には、いくつかの焦点がある。

 まず、毎月勤労統計で全数調査の対象だった従業員500人以上の事業所について、2004年以降、東京都だけ抽出調査が行われており、しかも、全数調査に近付けるための補正(復元)を行っていなかったことだ。全数調査から抽出調査に変えるには総務大臣の承認が必要だったが、そうした手続きを取っておらず、「統計法」に違反していた。

 この点が明らかになった1月以降、大きく注目されたのは、この統計の数値を使って失業保険などの金額が決まっていたため、本来の統計手法と違っていたことで過少給付が生じ、その対象は2000万人にのぼることが判明したことだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。