台頭著しい中国の陰で、小さくなる一方の日本の存在感。これを懸念する国内の大学の“雄”たちが集まり、米ワシントンにNPO法人「日米研究センター(仮称)」を設立しようという構想が動いている。 発起人は、早稲田大学の白井克彦総長を代表に、東京、京都、慶応、立命館の各大学総長と、柳井俊二・元駐米大使の計六人。設立趣意書によると、設立基金二十億円、年間の予算規模は三億円で、現在、財界などに寄付を募っているのだが――。「日米両国の地位が低下し、中国の地位が相対的に上がる中で、日米関係を世界とアジアの中で位置づけ、米中関係との比較で研究する」「日米双方の専門家が学術的基盤で実践的研究をする」ことなどを目標に掲げ、シンクタンク的な役割を果たそうという新組織。しかし、この十月の発足を目指してきたというのに、まだその片鱗も見せていない。バブル期には研究機関に巨額の寄付を続けた日本企業も、現在は米国内の既存のシンクタンクへの寄付も削減傾向にある。金融危機が与える影響も計り知れず、資金集めは難航しているようだ。 これには米側のアジア研究者の間からも、「入れ物だけ作っても、発信力のある人材が集まらなければ無意味」「既存の現地組織と連携した方が現実的」「財政運営への認識が甘すぎる」など冷ややかな声が続出。背景には、研究活動継続のために自らも資金集めに奔走している米側研究者たちの厳しい現状がある。果たして組織は計画通り立ち上がるのか。

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