大使の講演に100名弱が足を運んだ

 

「日本はアメリカが中心となってロシアに対して発動した経済などの制裁に参加している。そのことは、この共同宣言第1条に明記されます『友好善隣』の精神に合致しているのでしょうか。私は合致していないと言わざるを得ません」

30分ほど大使が講演した後、篠原氏との対談が行われた

 3月27日、ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使は、政治解説者の篠原文也氏が主催する「篠原文也の直撃!ニッポン塾」で登壇し、こう苦言を呈した。大使は学生時代に日本へ留学し、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ元大統領の日本語通訳も務めた「日本通」。その流暢な日本語には有無を言わせぬ気迫がある。

 念頭に置かれているのは言うまでもなく、日露間で交渉が進められている平和条約だ。2018年11月、安倍晋三総理とウラジーミル・プーチン大統領が、1956年の「日ソ共同宣言」を基礎に平和条約交渉を加速することで合意。以来、日本ではもっぱら共同宣言の第9条を根拠に、歯舞、色丹の「2島返還」が取り沙汰されてきたが、大使はこう言う。

「私が見ている限り、日本の皆さんは“共同宣言を基礎にするなら、ロシアは今すぐ色丹と歯舞を日本に引き渡すべきなのではないか”と思っていらっしゃることが多い。だが、この共同宣言には、実は条項が10ありまして、島のことについて言及する9条もあれば、第1条もある。その第1条は、まず戦争状態の停止、平和の回復、多国間関係の回復、友好と善隣関係の樹立ということを明記しています」

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