日本が主催した五月の第四回アフリカ開発会議(TICADIV)で約束されたアフリカ支援策が福田首相の突然の退陣で反古にされることはないか――。首相が辞任表明した九月、アフリカ各国の政府から外務省にそんな問い合わせが相次いだ。福田首相(当時)がTICADで約束したアフリカ支援策は、(1)五年間で政府開発援助(ODA)を倍増、(2)五年間に最大四十億ドルの円借款を供与、などである。 たとえば、エチオピア外務省の担当者は、辞任表明のニュースを聞いた直後に現地の日本大使館経由で懸念を伝えてきた。外務省はアフリカ各地の大使館を通じて「政権が代わっても支援方針は同じ」と説明したが、それだけでは不十分と判断。福田首相に直接メッセージを発するよう要請した。首相は九月九日夜、東京・六本木で開かれた「アフリカンデーレセプション」に出席し、アフリカ諸国の駐日外交団に「心配ない」と語りかけて不安解消に努めることと相成った。 アフリカ諸国から相次いで寄せられた声は、二度にわたる首相の「政権投げ出し」が日本の国際的信用を損ねている現実の一端を浮き彫りにした。

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