テロが起きたコロンボの教会(C)AFP=時事

 

 スリランカで凄惨な爆弾テロが起きた。死者・負傷者合わせて現時点の情報で500人を超える。しかし、テロを実行した組織の実態や背景はいまだ不明のままだ。いずれにせよ、南アジアで地政学的に重要な位置にあるスリランカが揺らげば、米中の世界戦略にも影響を及ぼしかねない。このテロが、長く続いた内戦を終わらせ、復興に向かおうとしているスリランカの未来を曇らせるのに十分な効果を上げることは間違いない。

動機面で謎が多い

 テロは事実上、同時多発的に行われた。最初に被害にあったのはキリスト教の教会だった。4月21日日曜日の午前9時前、首都コロンボとコロンボから少し離れたニゴンボ、そして、島の反対側にあるバティカロアの3つの教会で爆発があった。この日はちょうどキリスト教の復活祭(イースター)であり、礼拝堂は普段より多い信者で溢れていたという。復活祭が狙われたのは疑いようがない。

 その後、間もなくしてコロンボのシャングリラホテルなど複数の高級ホテルで自爆テロと見られる爆発が相次いで起きた。

 死者は300人に近づき、多数の外国人も巻き込まれた。日本人1人の死亡も確認されている。アジアでは近年にない大型のテロ事件だと言える。

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