我がささやかなる「地域人」としての活動

執筆者:渥美由喜2008年11月号

 相変わらず、子どもたちが犯罪の被害者、加害者になる事件が頻発している。地域社会全体で子どもたちを育み、見守る機能が著しく低下していることを痛感する。今回は、地域の子育てにおける「男性の役割」について考えてみたい。 筆者が子どもの頃、近所に頑固な爺さん、略して「ガンじい」が住んでいた。秋になるとたわわに実る柿を狙って、ガンじい邸に悪ガキどもが集結する。塀によじのぼり、あともう少しという絶妙のタイミングで、「コラーッ」と雷が落ちた。「ワーッ」と蜘蛛の子を散らす中、いちばん年少で、動きの鈍い筆者は、逃げそびれて、捕まった。 遠巻きに心配そうに見ている子どもたちに向って、「いちばん下のこわっぱが捕まって、年上のおまえたちは真っ先に逃げるとは、ひきょう者め。恥を知れ!」と大声で怒鳴りつけた。 声に応じるように出てきたガキ大将は、ガンじいから「ガツン、ガツン」とゲンコツを見舞われ、涙目になった。ガンじいはニカッと笑って、「ゲンコツ覚悟で、みそっかすを迎えに来たのは、あっぱれだ」とガキ大将の両手いっぱいに柿をくれた。あの時、みんなで分け合って食べた柿の味は忘れられない。 十五年前に、筆者は地元の公園で「子ども会」を始めた。地域社会できちんと子どもの名前を呼んで、ある時は厳しく叱り、じっくりと諭す「ガンじい」のようになりたいと思っている。

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