灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(43)
2019年4月29日
七色の テープの虹のかなたにて ほほえみながら涙する君
さかりゆく 二人をつなぐ色紙の 紅きはきれぬ紫もまた
かくばかり 寂しきものか一人の君 この国にあらぬのみにて
思われて 思いて生けりそれをのみ 富ぞとなして悔いなき身なり
命おし 君とあう日のたまゆらの よろこびのためかなしみのため
夢に来て 君が吸いたる唇の 紅きが寂し朝のかがみに
言い残し 聞き残したることあまた あるここちして君を送りし
何千里 君はゆくとも帰り来むは 大天地にわが胸一つ
かえりませ とくかえり来てくちづけに わが吐息をば吸い取りたまえ
さみしさを紛らわすために、義江との逢瀬を思い出すとき、1人の世界に入りたい時に、あきは歌を詠んだ。
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