「バオバブ」が欧州の注目を集め始めた

執筆者:シルヴィオ・ピエールサンティ2008年11月号

[ローマ発]アフリカで「生命の木」とも呼ばれるバオバブの別名は「薬屋の木」。実際、バオバブの実にはビタミンCがオレンジの六倍、カルシウムが牛乳の二倍、鉄分がホウレンソウの二倍も含まれている。アフリカ選手がマラソンなど持久力を必要とするスポーツで活躍している秘密は、このバオバブにあるともいわれる。北京オリンピックに参加したアフリカチームのいくつかは、バオバブをどっさり持ちこんだとか。いや、常に最新情報を取り入れる欧州チームがバオバブをバッグにしのばせていた可能性もある。欧州委員会(EC)が今年六月末、バオバブ果実の高い栄養価と健康増進効果を認め、ビスケットなどの原料として販売することを認めたからだ。 バオバブ果肉百グラム中の含有量は、食物繊維一七mg、炭水化物六・八mg、脂質六・八mg、カルシウムとカリウムとリンがいずれも一二・一三mg、アスコルビン酸(ビタミンC)六mg、タンパク質二・八mgだ。 バオバブの栄養価と健康的効能の解明に取り組む伊フェッラーラ大学のステファノ・マンフレディーニ教授は、「知れば知るほど驚きを増す」と言う。「我々はバオバブの並外れた効能を確認した。体や肌が本来のバランスを回復し再生するのを助ける、非常に優れた食品だ。果実には、ビタミンやミネラルに加え、食物繊維なども含まれる。その総合的抗酸化能力(IAC=活性酸素を取り除き、生活習慣病を予防する能力)は、オレンジの十倍、キウイやリンゴの四倍にものぼる」。

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