事件の幕引きをはかるも……(C)EPA=時事

 

 外務省の海外在留邦人数調査統計(平成30年度)によれば、中東10カ国に進出している日本企業(拠点数)は900弱。石油関連からメーカー、建設、情報通信まで、多岐にわたる業種が新興市場を開拓している。世界のマーケットのみならず外交安全保障にも大きな影響を及ぼすこの「一大ファクター」への関心は、日本でも高まる一方だ。

 とりわけ目が離せないのが、サウジアラビア(以下サウジ)のムハンマド・ビン・サルマーン(MBS)皇太子の動向だろう。

 2017年6月の皇太子就任以降、石油依存体質からの脱却、国営石油会社「サウジアラムコ」のIPO(新規株式公開)、女性の社会進出、「サウジビジョン2030」といった改革案を次々に打ち出したものの、実務能力を問う声は大きい。昨年10月には彼が指示したとされるサウジのジャーナリスト「ジャマール・ハーショクジー(日本語ではカショギとも)記者殺害事件」が発覚し、一時は王位継承を不安視する指摘も出た。MBS皇太子は目下、サウジ最大の「リスク」と言える。

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