会見には多くのメディアが駆け付けた(筆者撮影、以下同)

 

 6月9日、香港で湧き上がった逃亡犯条例改正案に反対するデモの巨大な人波。香港返還後、最大規模というその盛り上がりが、世界を驚かせた。2014年に行政長官の民主選挙を求めて学生が立ち上がった「雨傘運動」の「敗北」で、一時は無力感すら漂った香港の人々が、なぜ再び立ち上がる気力を取り戻したのか。

 逃亡犯条例は、犯罪者の引き渡しに関する各国との取り決めを定めたもので、今度の改正ではあらたに中国が適用対象になる。今年2月に香港政府から立法会(議会)に提案され、今年7月までの可決を目指す政府と、それに反対する市民との間で、攻防が続いている。

 この改正が実現すると、中国側にとって好ましくない人物というだけで、香港で拘束され、中国に引き渡される恐れが生じる。そのことから香港内外で懸念が高まっており、9日のデモは主催者発表で103万人という予想を大きく上回る動員となった。

 雨傘運動で「女神」と称された学生活動家で、政治組織「デモシスト(香港衆志)」の常務委員・周庭(アグネス・チョウ)さん(22)に、筆者はデモの前に香港でインタビューしていた。その後、彼女は10日に来日して日本記者クラブで会見を行った。会見内容もあわせて、なぜいま香港人が立ち上がって「ノー」を叫んでいるのかについて、周庭さんの言葉から考えてみたい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。