公務員制度改革を葬り去ろうとする面々とは、財界・御手洗冨士夫、政界・中馬弘毅……。次回は財務省と経産省から名指ししよう。「官僚は使いこなすこと」「官僚は、わたしとわたしの内閣にとって敵ではない」。麻生太郎新総理は、就任以来くどいほどに、このメッセージを出し続けている。一般の国民からすると、なぜそんなことを強調するのか全く理解できないが、霞が関の官僚にとっては拍手喝采に値するメッセージらしい。ある経済官庁幹部はこう解説する。「つまり、福田内閣や安倍内閣は官僚バッシングの誘惑に負け、公務員制度改革などという愚行に走った。自分は賢いからそんなことはしない、と宣言したわけだ」。 ならば、すでに進行中の公務員制度改革はどうなるのか。福田政権末期、政治の混乱に乗じ、公務員制度改革事務局の松田隆利次長(前総務事務次官)を中心に骨抜き工作が動き始めたことは先月号でも紹介した。要するに、総務省の行政管理局と人事・恩給局の二局を母体として四百人規模の内閣人事局を創設。人事院の膨大な人事院規則や財務省の給与査定には何ら手をつけず、能力・実績主義の徹底、給与体系の抜本改革、定年延長や役職定年の導入、労働基本権拡大といった実質的改革は全て先送り。天下りも温存される単なる組織改編だから、霞が関にとっては痛くも痒くもないプランだ。

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