「歴史的勝利」を詳細に分析する

執筆者:ルイス・ジェイコブソン2008年12月号

専門家の予測をはるかに上回る大勝利を収めたバラク・オバマ。その中身をつぶさに眺めれば、アメリカの政治地図の変化が浮かび上がる。[ワシントン発]十一月四日、第四十四代アメリカ大統領に選出された民主党のバラク・オバマ候補は、アメリカの政治地図を大きく塗り替えた。 二〇〇〇年と〇四年、過去二回の大統領選挙で、赤い州(共和党のジョージ・ブッシュ現大統領を勝たせた州)と青い州(民主党のアル・ゴア副大統領とジョン・ケリー上院議員を勝たせた州)は、ほぼ固定していた。しかし今回、オバマは共和党の地盤でも精力的な選挙運動を繰り広げた。結果、狙った州すべてを獲得したわけではないが、ほとんどの専門家が選挙戦のはじめに予測したよりもはるかに多くの州で勝利した。 共和党のジョン・マケイン候補に対してオバマがつけた差は、民主党候補としては近年稀に見る大差だった。一般得票率(オバマ五三%、マケイン四六%)でも、獲得した選挙人の数(オバマ三百六十五、マケイン百六十二、未確定十一)でも、オバマはマケインを圧倒した。 オバマはまず、前回〇四年の選挙でケリーが勝った州での支持を固めることから、「獲得予定州リスト作り」を始めた。いくつかの州は最初から手中にあった。カリフォルニア(オバマ六一%、マケイン三七%)やニューヨーク(同六二%、三七%)などは、共和党が誰を立てようと勝つ見込みのない民主党の地盤だ。

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