ドゥテルテ・フィリピン大統領と会談する筆者(JICA提供、以下同)

 

 今年4月、フィリピンを訪ねた。JICA(国際協力機構)理事長になってから3度目で、一番多く行った国の1つである。東京でもロドリゴ・ドゥテルテ大統領をはじめとしてフィリピン要人とは何度も会っているので、一番接触の多い国と言ってもよいだろう。

 フィリピンは面積が約30万平方キロ、人口が約1億人で、どちらも日本の約8割である。しかし人口増加率は高く、日本の人口を超えるのは時間の問題である。経済成長もめざましく、この点でもJICAはいろんなかかわりを持っている。しかし、今回はミンダナオ和平を中心に、ミンダナオについて書きたい。

「モロ」と呼ばれたムスリム

 フィリピンは7000を超す島から成り立っている。一番大きいのは北のルソン島で約10.5万平方キロ、二番目が南のミンダナオ島で、約9.8万平方キロ、ルソン島が国土の35%、ミンダナオ島が32%を占める。2つの島の真ん中にあるのがヴィサヤ諸島で、観光で有名なセブ島や、太平洋戦争中、激しい戦争があったレイテ島は、ヴィサヤの中にある。

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