2018年3月、南シナ海に展開中の米空母カール・ビンソン艦上[米海軍提供](C)時事

 

【編集部より】以下は、NPO法人国際地政学研究所が主催する地政学講座における、柳澤協二理事長の講義(2019年3月13日)を採録したものです。4回にわたってお届けします。

 私は2009年に官僚を退官したのですが、その後はいろんなことをやろうと思っていました。特にイラクへの自衛隊派遣については、検証作業をやっておかなければいけないという思いでいたのですが、ちょうどその年、民主党(当時)の鳩山由紀夫政権が、米軍普天間基地の代替案として「最低でも県外」との公約を、暮れになって「抑止力のことを考えるとなかなか難しい」と言い出した。その、鳩山さんが口にした「抑止力」という言葉に引っかかった。「ちょっと待てよ、抑止力って何なの」と。

 もしそれが抑止力というのであれば、どうしても沖縄に存在しなければならないのかという問題と、それを使って本当に戦う意志があるのかということを問わなければいけないと考えたのですが、その点で、普天間にある米海兵隊というのは抑止力にならないのではないかと思うようになった。逆に言えば、沖縄に海兵隊を置く理由として抑止力という言葉を使うのは違うのではないか、とも考えるようになったわけです。

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