民衆信仰「修験道」の過去・現在・未来(上)

『修験道という生き方』(新潮選書)共著者・田中利典師インタビュー

執筆者:森休快2019年7月18日
 

 修験道あるいは山伏というと、ほら貝を吹きながら白装束で山道を駆け巡る、という光景を思い描くかもしれない。

 そのイメージは決して間違いではない。けれどもその奥には、日本人の深層に流れる自然信仰があり、それは現代も脈々と息づいていることについて、「里の哲学者」内山節さん、本山修験宗総本山聖護院門跡門主の宮城泰年師、金峯山修験本宗長臈で林南院住職の田中利典師の3名が語りつくした『修験道という生き方』(新潮選書)が注目を集め、修験道への関心も高まりつつある。

 そもそも修験道とは、山岳信仰とは何なのか。それはこれまでの日本人とどう結びついており、現代人に何をもたらすものなのか――鼎談者の1人である田中師に話をうかがった。田中師は1955年、京都府生まれ。龍谷大学、叡山学院を卒業。現在は種智院大学の客員教授も務めている。著書に『よく生き、よく死ぬための仏教入門』(扶桑社親書)、『体を使って心をおさめる 修験道入門』(集英社新書)などがある。

修験道「4つのポイント」

――「修験道」とは一体何なのかについて、田中先生は以前から4つのポイントを挙げておられます。まず第1に、それは山の宗教、山伏の宗教であり、大自然が道場であるということ。第2に、実修実験、修行得験の宗教であるということ。

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