中国のチベット自治区での騒乱や新疆ウイグル自治区で相次ぐテロにからみ、国際人権団体や中国人の海外亡命団体から批判の声があがっている。中国当局が多数の容疑者や関係者を拘束、刑務所など収容施設は満杯で待遇は劣悪、虐待・拷問も多発しているというのだ。 だが、中国国務院筋は「嘘ばかり」と一蹴する。「わが国の刑務所は巨大だし、人間扱いしないのは毛沢東以来の伝統ですよ」と笑い、真顔に戻って「だが今後、拘束される者は減りこそすれ増える可能性はない」と付け加えた。 これには、いささか解説が必要だ。同筋によれば、公安・司法系統を統轄する党中央政法委員会と国務院公安省は、両自治区に限り発砲の許可基準を大幅に緩和した。 従来も、暴徒が治安部隊を襲うなど突発時には現場レベルで判断できたが、組織的な鎮圧に踏み切る場合、チベットではこれまで自治区公安庁が発砲の許可権限を握っていた。だが、「快速反応」をという自治区当局の要請に基づき、今後は自治区より下級の市や区の公安局・分局レベルに判断を委ねるとしたのだ。今年三月のチベット騒乱でいえば僧侶らが雪山獅子旗を手にラサ市内に向かうため集団で僧院を出発した時点で、公安部隊は発砲が可能になるという。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。