「下品なことはしないほうがいい」と指摘する冨山氏(筆者提供)

 

 ネット通販大手「アスクル」の大株主である「ヤフー」は7月24日、8月2日に開かれるアスクルの株主総会で、岩田彰一郎社長の取締役選任案に反対すると正式に発表した。

 ヤフー、アスクルはともに上場企業で、いわゆる「親子上場」の状態にある。日本の会社法では、アスクルの少数株主は支配的株主であるヤフーの意向に従うしかないが、コーポレートガバナンスの専門家からは「利益相反に当たる」との懸念の声が上がっている。

 日本以外の先進国では、少数株主を保護するため親子上場に厳しい規制がかけられている。

 ガバナンスの観点からヤフーとアスクルの「親子ゲンカ」をどう見るか。金融庁スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員を務める「経営共創基盤(IGPI)」CEO(最高経営責任者)、冨山和彦氏に聞いた。

 

――欧米で「親子上場」がほとんど見られないのはなぜですか。

 メリットが少ないからです。欧米のほとんどの国では、子会社の少数株主の権利を守る規定が会社法に盛り込まれています。子会社の株式の過半を所有していても、親会社が自分たちの利益のために、少数株主の利益を損なうことは許されない仕組みになっています。

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