タンザニアやモザンビークに囲まれたアフリカ南東部のマラウイは、九州と北海道を合わせたほどの国土に約1800万人が暮らす小さな内陸国だ。1964年にイギリスから独立して以来、紛争がないことから、「Warm Heart of Africa」(アフリカの温かい心)と呼ばれる一方、農業中心の経済状態は非常に厳しく、1人当たりのGNI(国民総所得)が320ドルと、最貧国の1つに位置づけられる。
そんなマラウイで起きた奇跡の実話を描く『風をつかまえた少年』が、8月2日に公開された。数千人規模の死者が出たと言われる2001~02年の飢饉の中、1冊の本を頼りに廃品を利用して風車をつくり、村に電気をもたらした14歳の少年、ウィリアム・カムクワンバの物語である。
風車という言葉すらなかった電化率2%のマラウイに、突如現れた“救世主”。その評判は地元メディアを通して世界中に広まり、2010年に刊行された『風をつかまえた少年』(ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー著)は23カ国で翻訳され、ベストセラーになっている。
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