安倍首相に影のように寄り添うラスプーチン秘書官(右から2人目)の責任は大きい(C)EPA=時事
 

 7月21日の参院選は自民・公明の連立与党が改選過半数の議席を獲得し、下馬評通りに勝利を収めた。東京株式市場では「無難な勝利」が織り込み済みとされ、翌22日の日経平均株価は前週末比50円20銭の反落。その後も7月末の米連邦準備理事会(FRB)の利下げで円高懸念が強まり、日銀の政策的な行き詰まりも際立ったことから株価は上値の重い展開が続いている。年末にかけて日米貿易交渉の本格化や消費税率の引き上げなど、日本経済への悲観材料が目白押しとなっているからだ。

禁じ手の「資金繰り上場」

 アベノミクスのメッキはとうに剥げ落ちている。首相の安倍晋三(64)の知恵袋が、“官邸のラスプーチン”こと政務秘書官の今井尚哉(60)であるのは周知の事実だが、その今井をはじめとする経済産業省人脈が繰り出してきた成長戦略は一向に実を結ばない。ここに来て「日の丸液晶・半導体」や「原発輸出」といった数年来の同省肝煎りの案件はことごとく手詰まりとなり、巻き込まれた企業や国民がその尻拭いに追われている状況だ。一連の失敗例から透けて見えるのは甘い見通しと、省益優先方針に彩られた同省の無責任体質である。

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