麻生太郎は強運?

執筆者:2008年12月号

 麻生太郎は運の強い政治家かもしれない。首相就任直後から解散・総選挙の機会をうかがっていたが、ついに決断の時機を逸してしまった宰相。世の中の大半はそう見ているだろうが、何が幸いするかわからぬのが政治の世界だ。金融危機から世界同時不況の様相を呈している経済状況をきっかけに内閣支持率上昇と反転攻勢のきっかけをつかむかもしれないのである。 麻生は二度、解散・総選挙を決断した。投票日でいうと十一月二日と十一月三十日である。最初は朝日新聞が報じた十月二十六日を「解散権が朝日にあるのか」と怒って何が何でもそれ以外の日と定めたとき。続いて懸案の補正予算が成立し、新テロ特措法案の見通しが立ちかけたときだ。二度目の決断にあたっては早期解散を迫る公明党・創価学会の意向に配慮せざるを得なかったという事情もある。 総選挙先送りで、立候補予定者はてんやわんやである。選挙事務所用のプレハブを空き地に建て、スタッフを確保する。月額百万円単位の費用がかかる。選挙の時期がはっきりしないからといって、いつまでも土地を確保できるわけではない。仕事を放り出して選挙のために駆けつけてくれるスタッフもたくさんいる。とくにつらいのは新人候補である。議員歳費は入らないし、党の公認を得ていても三百万円ぐらい支給されればまだましなほうだ。

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