事実上の解任(ファーリハ大臣)(C)EPA=時事
 

 先週金曜日(8月30日)、サウジアラビア(以下、サウジ)のエネルギー産業鉱物資源省が分割され、新たに産業鉱山大臣が任命されたとき、この日が来るのは近いと思っていた。

 9月3日付で、ハーリド・アル・ファーリハ・エネルギー相は、兼務していたサウジの国営石油会社「サウジアラムコ」の会長を解かれ、後任にサウジ主権国家資産ファンドである「Public Investment fund(PIF)」のヤセル・ルマイヤン総裁が任命されたのだ。

 サウジの経済活動のほぼ半分を管轄していたエネルギー産業鉱物資源省の大臣のときには、ムハンマド・ビン・サルマーン(以下、MBS)皇太子の掲げる「サウジアラビア・ビジョン2030(以下、ビジョン2030)」を実行に移せるのは、ファーリハ大臣とその部下たちしかいないと思っていたが、今回の組織再編、新人事の発表で、「ビジョン2030」は幻で終わるのでは、と考えざるを得ないところに筆者は追い込まれてしまった。

 これは、サウジにとっても決して望ましい展開ではないのではなかろうか?

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