“不正輸出”された「金正恩のベンツ」は今年2月、米朝首脳会談が行われたベトナム・ハノイも走った (C)EPA=時事
 

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が使用する高級乗用車「メルセデス・マイバッハS600ロングバージョン」は、ドイツで製造された後、オランダのロッテルダムに輸送され、その後、中国の大連、日本の大阪、韓国の釜山を経てロシアのナホトカまで海上輸送され、ウラジオストクから北朝鮮へ空輸――つまり、「密輸」された可能性がある……。

「黒幕」に仕立て上げられた社長

 2019年7月16日、米国の研究機関「C4ADS」が公表した報告書「LUX & LOADED」は、世界に衝撃を与えた。金委員長が果たしてどのようにして、国連禁輸品の高級乗用車を調達していたのか。長らく解明されなかった謎に、ついに解明の糸口がもたらされたというのである。

 そして報告書が不正輸出の中心人物として名指ししたのが、大阪西区に所在する「美濃物流株式会社」と徐正健社長である。

 報告書の発表後、徐社長と美濃物流は、世界中のメディアで「制裁違反者」として実名が報道された。しかも日米等の金融機関等から資金洗浄容疑をかけられてしまい、今や深刻な打撃を受けており、会社の存続が危ぶまれる事態にすら直面している。

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