「華人」として「医師」として「大移民時代」を考える

執筆者:医療ガバナンス学会2019年9月27日
墨東病院には日々、多くの外国人患者が訪れる(筆者提供)
 

【筆者:大橋浩一・都立墨東病院循環器科内科医】(略歴は本文末尾に)

「您好 今天怎么样?」(こんにちは お元気ですか?)

 この言葉で診察を始めることが最近増えている。

 東京スカイツリーで観光中に急性心筋梗塞を発症し搬送された40代女性の中国人観光客、中国から日本に住む家族を訪ねて来日した虚血性心筋症による慢性心不全を既往に持つ70代男性の急性増悪、日本のレストランで勤務中に発症した急性大動脈解離により搬送された30代男性の中国人労働者――。

 これらは私の外来に通院する心疾患を有する中国人患者のごく一部だ。

 私は中国上海生まれ、日本育ちで、現在は日本に帰化した、いわゆる「華人」である。

 千葉大学医学部を2011年に卒業して以降、都立墨東病院を中心に循環器内科医として勤務し、心臓カテーテル室や手術室での検査・治療や外来業務、研修医の指導に携わっている。

 墨東病院は東東京に位置する代表的な繁華街の錦糸町にある。

 日本屈指の救急救命センターを擁するほか、感染症医療に代表される行政医療にも対応し、がん医療や心臓病医療や脳血管疾患医療などの高度・専門医療を提供する。

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