「IPO実現」でぶち上げた「8兆円配当」でサウジの国家財政はどうなる
2019年10月2日

何としてでもIPOを成功させたいMBS皇太子の決意の表れとも言えそう(C)AFP=時事
8兆円超の株式配当!
なにしろ、2018年の東証1部上場企業の株式配当額総額が11.8兆円だったことを考えると、とてつもなく巨大な配当額だ(『「図解・解説」東証1部の配当総額の推移』参照)。
サウジアラビア(以下、サウジ)の国営石油「サウジアラムコ」(以下、アラムコ)は、企業価値2兆ドルのIPO成功を目指して、同社の配当額を750億ドルとする、と発表したというのだ。実に、8兆円超である。
詳細は、下記に紹介する『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の記事内容を参照していただきたいが、筆者の疑問は、では国家予算はどうなるのか? という点にある。
ある油価と原油生産量を前提とすれば、「アラムコ」の総収入は予測できる。
一方、同社の総支出に含まれるのは、会社を維持操業するために必要な資金、さらなる拡大発展のために必要な投資資金、政府に支払うロイヤリティと法人税などで、残った利益余剰金から配当を支払い、残りを翌期以降の事業のために積み上げる、というのが基本的な仕組みだ。
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