中国の中央銀行、中国人民銀行は十月三十日、銀行融資の法定貸出金利と法定預金金利を期間一年ものでそれぞれ〇・二七%引き下げる利下げを実施した。六年七カ月ぶりとなった九月十六日の利下げからわずか一カ月半の間で三度目となった。 一連の利下げは、一度目が米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻、二度目が欧米六中央銀の協調利下げ、三度目は米連邦準備制度理事会(FRB)の〇・五%の利下げと、欧米諸国の金融危機への対応にタイミングを合わせたものだった。中国政府は「各国と協調・協力の強化を続けていきたい」と、国際協調路線を強調している。 ただ、中国の金融機関は、サブプライムローンで大きな損失を負った欧米とは違い、サブプライム関連の損失はほとんど無い。国有大手商業銀行の七―九月期の業績をみても、最大手の中国工商銀行が前年同期比二四%の増益を確保するなど、軒並み高い増益率を示している。当然、金融機関の経営破綻や信用不安なども発生していない。こうした状況下での立て続けの利下げは、「協調利下げと言うよりは便乗利下げ」(国際金融筋)と指摘されている。 中国政府は昨年秋以降、物価高騰と景気過熱を防止する「両防」を最重要課題に掲げ、同十月に銀行融資の総量規制を実施すると同時に、人民元の対ドル・レートの上昇ペースも加速させた。さらに十二月には中央経済工作会議で一九九七年以来の基本方針「穏健な金融政策」を十年ぶりに転換し、「金融引き締め」を前面に打ち出した。

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