香港では20日も覆面禁止法廃止を求めた大規模デモが行われた(C)EPA=時事

 

 中国の習近平国家主席が掲げる「中国の夢」は、一言で表せば、どの国からも見下されない強国になることだ。そして現在の中国は強い。10月1日の軍事パレードの圧倒的装備を見ても、ほとんど実現したようにも見える。その点について異論は多くないだろう。

 だが、その強国の夢の完成には、まだ埋まっておらず、どうしても欠かせない2つのピースがある。香港と台湾である。

中国ルールと台湾・香港ルール

 巨大な中国から見れば、香港と台湾はまるで米粒のように見えるほど小さい。しかし、中国が政治、軍事、経済でどんどん強国に近づくほど、その求心力に逆らって、香港と台湾は遠ざかっていくように見える。

 はっきりとしているのは、このわずか1年ほどの時間のなかでも、中国の目指す「国家統一」の大事業において、表看板として掲げている「一国二制度」の国際的な信用がガタ落ちになったということだ。

 もともと香港や台湾において一国二制度は、香港が「適用後」で台湾が「適用前」という違いはあるとはいえ、等しく人気が低かった。しかし今回の香港の抗議行動によって、それが世界に対してもはっきりと晒されてしまった点に、深刻さがある。

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