[ロンドン発]張子の虎にすぎなかった――。「小国開放経済の成功モデル」ともてはやされた“金融立国”アイスランドの崩壊を目の当たりにしたロンドンのある金融関係者は、こうつぶやいた。 世界的な金融危機の大波に飲み込まれたアイスランドは十月、三大銀行の国有化という非常手段を取ったが、結局、国際通貨基金(IMF)に救済資金を求めざるを得なくなった。 世界銀行によって一九七〇年代まで「途上国」に分類されていた最北の島国アイスランド。水産資源への依存度が高く、物価が変動しやすかったため、七〇―八〇年代には五〇%ものインフレを経験した。 同国政府は経済安定化や外資誘致を目指し、八〇年代後半から規制緩和、市場原理の導入、国営企業の民営化といった改革に着手。九六年以降の十年間では年平均七%の高成長を達成し、気が付けば一人当たりの国内総生産(GDP)は世界トップクラスとなった。 一方、人口約三十万人の小さな市場に大量の外貨が流入したことで、インフレが昂進。中央銀行がこれに対応するため段階的な利上げを実施し、政策金利は今春に一五・五%にまで上昇した。その高金利を目当てに海外マネーがさらに吸い寄せられ、国内銀行の総資産はGDPの十倍にも膨らんだ。

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