ロシアに急接近「マクロン大統領」の深謀遠慮

執筆者:渡邊啓貴2019年10月31日
今夏G7直前に急遽実現した首脳会談も、マクロン大統領からのアプローチだった(C)AFP=時事
 

 アメリカでは投票が1年後に迫った大統領選挙戦が本格化している。

「アメリカ・ファースト」を掲げて意気揚々と出発したドナルド・トランプ大統領の外交、いわば「トランプ旋風」はこれから凪の時期に入る可能性が高い。表向き華々しく見えてはいるが、実は目立った成果を上げているわけではない。

 公約であったアフガニスタンからの米軍撤退は、トランプ大統領が選挙戦の目玉としたいところだが、結論はまだ出ていない。中国への制裁外交も、米中両国の痛み分けの中で交渉が進む可能性も出てきた。すでに英紙『ガーディアン』は、トランプ政権が大統領選挙キャンペーンの一環として外交的成果の評価水準の引き下げを始めたと冷ややかに批判する。

「イラン核合意」からの離脱は独仏はじめ多くの国の反発を買ったが、合意違反によるイラン制裁の徹底路線から、米国が主導となったイランとの合意交渉へと、対応はトーンダウンしてきている。そのあたりを見透かしたかのように、かえってイランは抗米姿勢を鮮明にしている。

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