実質破綻「国連」分担金制度いまこそ見直しを

執筆者:鷲尾香一2019年11月5日
多額の負担金を拠出しながら、安全保障理事会の常任理事国にすらなれないという矛盾した現実 (C)AFP=時事

 

 国際連合(以下、国連)が悲鳴を上げている。

「2019年の通常予算に基づく活動に必要となる総額のうち、加盟諸国は70%しか納付していない。これにより、国連は9月末に2億3000万ドル(約250億円)の現金不足に陥り、このままでは流動性準備金も今月末までに使い果たす恐れがある」

 これは、10月7日にアントニオ・グテレス事務総長が国連事務局の職員3万7000人に送った書簡の内容の一部だ。10月末にも職員の給与や各手当の支払が滞る可能性があるため、コスト削減のために会合や会議を延期し、サービスを縮小する、としている。企業で言えば、事実上、倒産寸前だ。

 国連の予算は、国連憲章第 17条の規定により、全世界の国民総生産に占める加盟国の割合を出し、国民1人あたりの所得など多くの要因を考慮に入れて調整、総会の割り当てに従って加盟国が負担する。

 2019年の国連加盟国各国の分担金は、以下のようになっている。

 

 これによると、2019年の予算総額は28億4900万ドル(約3100億円)。

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