首相お得意の射撃で言えば“腰だめ”。狙いも大まかに発射した「給付金」のアイデアは、身内からまで不評を買う。そんなに雑で大丈夫?“選挙管理内閣”と言われ、早期の解散・総選挙への期待感から選出されたはずの麻生太郎首相は、十月三十日午後六時、衆議院選挙の先送りを明言した。 自民党の細田博之幹事長や、首相の盟友である大島理森国会対策委員長が十一月中の総選挙を強く匂わせていたこともあり、選挙準備に入っていた自民党内の議員からは「解散もできないのか」といった落胆の声があがり、「先の見通しが立たず、このままでは資金が続かない」といった嘆きが相次ぐ事態となった。 連立を組んでいる公明党の怒りも収まらない。公明党の太田昭宏代表は、十月十五日には東京・千代田区の東京国際フォーラムで、入れ替え制の五千人集会を三回開くなど、十一月選挙を見据えて選挙運動全開の状態にあった。それは、麻生首相から太田代表に対して密かに「十一月三十日選挙」が伝えられていたからだ。同党の赤松正雄元厚生労働副大臣にいたっては、ホームページで「麻生首相は公明党を裏切った」と痛烈に批判した。今後、公明党と支持母体の創価学会が麻生政権に対してどういうスタンスを取るのか。大きなしこりが残ったのは間違いない。

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