7歳少女まで「賄賂」を理解「カザフスタン」の驚愕「社会システム」

『〈賄賂〉のある暮らし 市場経済化後のカザフスタン』著者・岡奈津子さんインタビュー

執筆者:フォーサイト編集部2019年12月19日
これぞフィールドワークの真骨頂

 2年前、カザフスタンの若い女性がインスタグラムに投稿した写真に波紋が広がった。運転免許証を左手に持った彼女の写真に、こんなコメントがついていたからだ。

「免許証を買ってもらっちゃった。(中略)パパありがとう」

 カザフスタンでは、運転免許証が売り買いされているという。しかも、それは誰もが知る「公然の秘密」らしい。そうは言っても、さすがにSNSで実名告白されると面食らうというわけで、この投稿は話題を呼んだ。

 10月28日に刊行された『〈賄賂〉のある暮らし 市場経済化後のカザフスタン』(白水社)に登場するエピソードである。

 ジェトロ・アジア経済研究所でカザフスタンを研究してきた著者の岡奈津子さんは、生活のあらゆる場面に介在する「賄賂」を通して、カザフスタンの人びとの「暮らし」を描き出す。

 本書で紹介されるエピソードには、嘘みたいな本当の話に思わずクスッとしてしまうものもあれば、事態のあまりの深刻さに言葉を失うものもある。

 カザフスタンではどのような賄賂が交わされているのか、なぜ賄賂が横行するのか、岡さんに聞いた。

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