紆余曲折の末、大阪証券取引所によるジャスダック証券取引所の買収がようやく決まった。大証傘下のヘラクレス市場とジャスダックの統合が早ければ二〇一〇年にも実現する運びになったが、国内証券業界では、「これは序章に過ぎない。次のステージは全国の新興市場の統合」との観測が高まっている。 ベンチャー企業の「登龍門」である新興市場は、両者に東京証券取引所傘下の東証マザーズを加えた三市場が代表的だが、ほかにも名証セントレックス、福証Qボード、札証アンビシャスと、計六つもひしめいている。 だが、あとの三者の上場企業数は名古屋が三十社、福岡十社、札幌十一社と、ごく小規模。どの市場も「ご当地ベンチャー」を育てる狙いがあったが、その実態は寂しい限りだ。地方市場が生き残るには、マザーズか「ジャスダック&ヘラクレス」の二大陣営のいずれかに合流するしか道はない。これは裏を返せば、「東証と大証の国内市場の覇権争い」(準大手証券幹部)に他ならない。ある取引所関係者は「東証も大証もそれぞれ地方市場のM&A(合併・買収)の検討に着手した」と声を潜める。 日本証券業協会の安東俊夫会長は「地方市場にはそれぞれ良さがあり、一つになる必然性はない」と大再編には懐疑的。しかし、他ならぬ日証協が、保有するジャスダック株を大証に売却し新興市場再編のレールを敷いたことを考えれば、その言葉は額面通りには受け取れない。

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