「海外に出ない」日本の若者が気付けない自らの「貧困」
2020年1月10日

最近の若者は「内向き志向」だと指摘されているが……(写真はイメージです)
昨年秋、50代の夫婦が、シンガポールに赴任している娘を訪ねた。娘は誰もが知る日本の大手物流会社で働く。夫婦は航空会社の規定いっぱいのスーツケースにギッシリと荷物を詰め込み、娘の元へと運んでいった。
持っていったのは、日本の食材だけではなく、衣料品や生活雑貨など、ありとあらゆるものだ。シンガポールでも手に入るものだが、「娘から高くて買えないというSOSが来て、持っていきました」と母親は苦笑する。
高い給与水準
海外赴任と言えば、ひと昔前ならば花形で、物価が安かったアジアに行けば、メイドを雇うなど貴族のような生活ができた。ところが今はまったく状況が違う。
この日本企業、海外赴任時には、「国内並み」の生活ができる水準の給与を現地通貨で支給するルールになっているが、もう何年も見直しがされていない。ところが、シンガポールでは予想以上に物価が上昇しており、
「うちの会社の給料が安過ぎて、外食もままならない」
と娘は悲鳴を上げているのだそうだ。
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