新型コロナウイルスがあぶり出した、中国が抱える様々な矛盾。習近平主席はさらなる締め付けを模索しているのか (C)WPA=時事
 

 世界中に新型コロナウイルスの感染者が蔓延する中、中国では4月末までに状況を抑え込めるとする見解を流し始めている。

 中国が公式発表する感染者数の信憑性はさておき、習近平政権の現在の特徴は、1つは徹底した抑え込み、つまり「人の流れの遮断」である。

 もう1つはIT(情報技術)を駆使した国民ひとりひとりに対する驚くような「監視システムの実験場」ともなっている実態である。高まってきた政権批判を許さない「言論封殺」も予想通りだ。

 背景には、明朝や清朝が疫病を1つのきっかけとして政権が交代したように、人民の怒りで政権が交代、滅びることを習近平中国国家主席は知っていることがある。

 習近平主席は中国共産党の歴史で最大の危機ととらえている。

訪日延期の「誤算」と「課題」

 日中双方は3月5日のほぼ同時刻、「桜の咲くころ」を予定していた習近平主席の訪日を延期すると発表した。訪日は東京五輪、天皇陛下のご都合、衆院解散などを踏まえれば、今年秋以降になると予想される。

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