トランプ大統領は1月3日、ソレイマニ司令官殺害を意気揚々と発表したが、それは正当だったのか (C)AFP=時事
 

「戦争の霧」(Fog of War)とは、不確かな情報を基に軍司令官が短時間で決断を迫られ、誤った攻撃を始める落し穴にはまる戦争の実相を表現したものだ。

 ドナルド・トランプ米大統領はこの「戦争の霧」に陥ったのか、それとも「霧」を口実にうまく目的を成し遂げたのか。そんな思いを抱かせる情報が飛び込んできた。

 1月3日のイラン革命防衛隊のガセム・ソレイマニ司令官殺害攻撃は、米国とイランが戦争に突入するのではないか、と世界を震撼させたことは記憶に新しい。

 だが、その発端となった昨年12月27日のイラクにある米軍駐留基地への攻撃を行ったのは、米国が断定するイラン系シーア派組織「カタイブ・ヒズボラ」(KH)ではなく、イランと敵対するスンニ派過激派組織「イスラム国」(IS)だった可能性がここにきて浮上しているというのだ。

 そんなことがあるのか、と驚かざるを得ない。米国は「敵」を間違え、報復したというのか。

キルクークにイラン系は足を踏み入れない

 時系列で見てみよう。

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