BYDという中国企業をご存じだろうか。広東省深セン市を本拠とする大手充電池メーカーで、五年前に自動車業界に進出。民族系同業では奇瑞汽車や吉利汽車などより知名度は低いが、このところ販売台数を急増させている。中国自動車工業協会によると、BYDのセダン「F3」の二〇〇八年十月の国内販売台数は一万五千三百台で、トヨタ自動車の「カローラ」などを抑え、ブランド別で初めて月間首位に立った。 香港で上場しているBYDが一躍脚光を浴びたのは〇八年九月末。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏傘下の電力・天然ガス供給大手の米ミッドアメリカン・エナジー・ホールディングズが、BYDの株式約一割を十八億香港ドル(約二百二十億円)で取得すると発表したためだ。BYDの株価は発表当日に四割以上も急伸した。 BYDの創業者で会長の王伝福氏(四二)は、一九九五年に従兄弟から二百五十万元(当時で約三千二百万円)を借りてBYDを設立。わずか数年で、中国最大の充電池メーカーにまで育て上げた経営手腕を持つ。 さて、このBYDが家庭用電源で充電可能なプラグイン型ハイブリッド車「F3DM」を〇八年内に発売する。BYDによれば、F3DMは最高時速百六十キロ。一回の充電で約百キロを走行でき、日常的な利用では全くガソリンを使わなくて済む。専用設備を使えば十分間で容量全体の五割が充電でき、家庭用電源でも九時間で充電が完了する。また、百キロの走行にかかる費用は九・六元(約百三十円)程度と、ガソリン自動車と比べ、燃費は格段に安くなることになる。

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